第1章 2.法律以外の規範

2020年08月24日  2022年07月22日

2.法律以外の規範

 

尤も、世の「指針」となるべきものは法律を含む法体系のみならず、宗教教義であったり、漠然とした道徳・倫理であったりする訳です。

敢えて、ここではそれらを一緒くたにして”規範”と申し上げましょう。

 

ところで、宗教的教義などは、国によってはむしろ形式的な法律より上位のものだ、と考えられている程、”厳(おごそ)か”なものでもあり得ます。

バチカンにおけるローマ法皇の下のカトリック教などはその代表例でしょう。恐らく、”一神教”の国ではそういうことが多いのでしょう。

昔、面白いと思った米国映画のうち、フランシス・フォード・コッポラ監督の「ゴッド・ファーザー」ではカトリック教会の権威の偉大さが遺憾なく表現されていましたね。

反面、悪徳司教がマフィアに撃ち殺されてもいた、と記憶しています。カトリック教会の権威が揺らぐ”過渡期”だったんでしょうか(あるいは、それはマフィアが司教に扮していたんだったかな?)。

 

これに対し、日本は言うなれば”多神教”の国ですから、やはり”法体系”の方が宗教に優先するんだろうな、と思います。

ここで”優先”というのは規範として通用する”割合の広さ”の問題です。

即ち、多神教国家においては、どうしても一つの宗教は他の宗教との関係で相対的(比較的)なものにならざるを得ない、つまり、”絶対的”なものがないのですから(というより、数ある宗教の中で、どれかが絶対的には威張れないのだから)、”お隣さん”同士の利害が衝突する場面を公約数である”法律”で規制する必要性が高くなるんでしょうね。

つまり、その限りでは、法律が宗教に優先する性格が強くなるのだろうと思います。抽象的にはそう考えて良いんだと思います。

・・・つづく