第2章 3.(3)個人情報保護法

2022年09月08日  2022年10月20日

第2章 わが国の最近の立法における立ち位置

3.最近の我が国における立法の現状

 

(3)個人情報保護法

これは、個人のプライバシーは保護されなければならない、という〝高邁〟な発想の下、米国流の法律が導入されたものです。立法趣旨は、「高度情報通信社会の進展に伴い、個人情報の有効性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする」、ということになっています。

 

確かに、それは立派な立法趣旨のように見えます。しかし、中身があるようで実は空疎な、かつ、意味不明な表現です。結果、これにより過度なまでに情報規制が敷かれ、社会に不便・不都合をもたらしている面も否定できません。

例えば、これまで弁護士として争いの相手方(関係者)である個人の住民票を取り寄せるのに、対象者が「No!」と言うとそれを取り寄せられなくなる、という自治体も出てきました。

 

確かに世の中には個人情報を悪用する輩がいますが、せめて弁護士の職務上の情報収集には支障を来たさないように運用して頂きたいところです。

弁護士でない者が、有資格者である弁護士の名義を借用して違法に住民票を取り寄せる。

そして、それを悪用するということがあったようでしたが、それは〝別の手立て〟で阻止して頂きたいものです。一つは、そのような場合、「弁護士法違反」の罪で対処すれば済むことです。

 

また、〝情報〟が過度に規制された中では〝真実の発見〟ということが阻害されて、結局、「世の中の為」にならないのではないでしょうか。

ここでも、最近の立法が何のためになされているのか判らない、という批判が当てはまると思います。

 

また、この法律でプライバシー保護を図ろうとしても、所詮、〝イタチゴッコ〟で終わるのではないでしょうか(?)

仮にイタチゴッコであっても長い目で見ればそのような法律により弊害の蔓延の〝抑止力〟にはなっているということですかね。いずれにしても、プライベートな友人・知人関係においても「個人情報だからあなたには教えない!」という生真面目(?)な御仁が増えて〝窮屈〟極まりない世の中になったと思うこと、しばしばです。

 

勘ぐれば、「個人情報保護法」というもの自体、法科大学院制度と相俟って、弁護士界の健全な業務の妨害を目的としたデタラメ立法かもしれません。

 

右を踏まえれば、ここでも、その法律を作ることのメリット・デメリットの利益衡量が十分になされなかった、としか申し上げようがありません。

 

おそらく、法案が提出される場合は、法案の〝メリット〟部分だけが過度に強調され、〝デメリット〟部分は過少にしか評価されていないという場合が多いのではないでしょうか。

この利益衡量作業は決して難しいことではないように思いますが、全体として実にお粗末極まりないですね。

言葉を変えると、マニュアルでしか現代日本人が行動できなくなった、という証しですかね。

 

・・・つづく